スプールウィービング誕生物語

 

スプールウィービングは、1人の女性の熱意がきっかけで生まれました。

話は、昭和46年の夏にさかのぼります。

当時、専門学校生だった松田美穂先生が兵庫県立総合リハビリテーションの付属病院で実習をしていました。

そこで、実習指導者の大喜多 潤先生から課題を与えられます。

その課題とは、「2ヶ月間の実習期間中に作業療法として使える、治療工芸の提案」というものでした。

松田先生は、以前に授業で見た黒板に描かれた編み機を思い出し、子供の頃に遊んだリリアンの編み方をヒントに毛糸で編んだメリヤス編みができるのではないかと考え編み機を作ることにしました。

作った編み機で、実際に編んでみると、片手で、指先での繰り返し作業がうまくできました。

そして、編み機を使って編み物をする方法(作業方法)を確立し、更に指先でつまんで編む動作分析とその作業がおよぼす心理分析をした結果、「これは作業療法として有効」と確信できたのでした。


作業療法の現場で

翌昭和47年、松田先生は専門学校を卒業し、兵庫県立総合リハビリテーションに就職します。
そして、この編み機をリハビリの現場で使用しながら、その完成度をどんどん高めていきます。

例えば
・ピンの直径が小さいと、毛糸がピンにきつく絡まって、つまむことができない。
・ピンの長さが短いと、毛糸がピンから抜けてしまい、編むことができない。
・ピンの間隔が大きいと、目が粗く作品の出来が悪い。
・ピンの間隔が小さいとコンパネにピンを立てる穴が開けられない。
・細い毛糸だと、目の間隔が大きく見栄えが悪い。
など、現場で実際に使用することで、いろんなことが分かってきました。

また、編み機も色々なサイズのものを作ってみて、使い勝手や作品の出来上がりをみました。

そして、編み機本体だけではなく、
・通常の編み物と比較しながら、この編み機で同じ編み方ができる方法は?
・実際にマフラーや帽子などを作ってみて、この編み機でできる作品は?
・操作は単純でも、完成度が高い作品を作る方法は?
など、編み方についても研究を重ねたのです。


完成! スプールウィービング

そんなテストを何年も繰り返し、最終的に3サイズの円形の編み機が出来あがりました。

名前も「輪という意味のスプール」「巻くという意味のウィービング」を合わせて『スプールウィービング』という名前に決まりました。

スプールウィービングは、単に編む動作が作業療法に使えるというだけではありません。
・作品が出来上がる
・プレゼントすると喜んでもらえる
・さらに良い作品を作ろうとする
ことで、更なるリハビリの動機付けになり、何よりも生きることのハリが出てきます。

松田先生はスプールウィービングをたくさんの方に使ってほしいと考え、量産化のために木工所へ依頼したりしましたが、なかなかうまくいきませんでした。


作業療法の定番に??そして商品化への道

その後、松田先生は臨床現場から離れましたが、スプールウィービングの素晴らしさは口コミで広がり、作業療法の定番となっていきました。

ただ、スプールウィービングを販売しているところはなく、作業療法士やボランティアの方が手作りしているのが現実でした。

平成10年、甲南医療器研究所に別な作業療法士の方から、「スプールウィービングを商品化できないか」と相談がありました。

そこで、スプールウィービングの現物をみせていただき、その素晴らしさも知りました。

しかし、商品化となると、様々な課題がでてきます。
・製造方法は?
・材質はどうするか?
・長年使えるものにするためには?
・できるだけ安く提供するためには?
などの課題をクリアするために、試行錯誤を繰り返しました。

そして、3年かけて、やっとスプールウィービングを商品化することができたのです。

また、1台で違ったサイズの輪編みができる「フレキシブルタイプ」をはじめ、各種のリハビリ編み機を開発しました。

当初は、リハビリ機器メーカーを通じて販売していましたが、病院や施設でリハビリ訓練された方が退院後も続けられるようにと、ホームページでご紹介させていただくようになりました。

松田先生をはじめ、たくさんの作業療法士の方の熱い思いがあって生まれた「スプールウィービング」の素晴らしさを、もっともっとたくさんの方に知っていただけたらと思っております。

 

スプールウィービング・リハビリ編み機の詳細は

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